miinneariのブログ

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三体[ネタバレ感想]

三体の軽い感想(ネタバレ込み)

 

 

 

中国のSF作家が書いた長編SF。

ハードカバー6冊という長さだが、割とずっと面白い。

3巻の唐突な作中小説は困惑して読むの遅くなったけどそこ以外はのめりこめた。

 

 

 

 

SF小説は突飛な現象や突飛なガジェットの存在を仮定すればどういう現象が発生するか?というところが見どころの一つだと思っているのだが、この辺りは全体を通してずっと面白かった。粒子を特殊な方法で操作し、高エネルギー加速器の研究結果の結果を狂わせることで基礎研究を狂わせ、対抗策の研究を妨害するのところとかが好き。逆に発想が突飛すぎてそれはありなのか?となることもままあった。例えば上の粒子を加工するための特殊な方法というのが、11次元の粒子を2次元に展開してプログラムを組み込むとかなので、それはできるのか?と思ってしまった。SFにそんなツッコミは野暮で所と言われればそれはそうなんだが、一部そういうところが気になるところではあった。

しかし、基本的には一部が突飛すぎるだけで地に足がついてそうな理論が多く、「その発想はなかったけど言われてみればあり得るかも」と思えた。またそれに対する社会の反応もしっかり描写されて面白った。

 

 

登場人物も魅力的で、史強、羅輯、章北海、程心と好きになれるキャラが多かった。

特に羅輯は二巻終盤で「一巻と同じでなんかこの後ヤバそうだねで終わりでしょ」って思ってたら最後の最後で盤面を一人でひっくり返したのがすさまじかった。そのあとはマスターヨーダみたいになってたし、最後まで格が高かった。

章北海と史強に関しては普通に人気そうだし、好きにならない人のほう少ないと勝手に思っている。

逆に程心は検索の候補を見る感じあまり人気がなさそうで、この人気のなさに関しては割と納得できるところではある。一巻の主人公汪淼に近くて状況に振り回されて、その上他者愛ゆえに判断を誤り続ける。合理性の塊のトマスウェイドが冷酷無比で正しい判断をし続ける横で程心がそれを否定し滅亡へと向かっていくのを数度見せられるから人気がでないのは当然。ただ、そういう愛という非合理性が宇宙の絶対法則ともいえる暗黒森林理論に逆らう人類種として独特の存在感を放っていて好きだった。

あと、他者愛ゆえに判断を誤り多くの人類を犠牲にする選択をするが、他者を愛するゆえに他者に愛され助けられ生存し続け、無関係とは言い切れない命が潰え続けるのを見ながら生きていく所とかが個人的には好き。3巻ラストで程心が質量を返す選択をするのは程心らしい判断で、これも後々誤った判断だったと後悔するだろうなという確信が個人的にはある。

 

 

あとこの三体、二義的におもしろいところが全体を通してちりばめられている。

三体星人とか地球の協力組織のやり方が迂遠で変な意味で面白かった。

「三体星人に興味を持ってもらうために三体星の環境を模擬したリアルなゲームを作って暦を解析できた人と接触、三体の協力組織への勧誘を行おう」という徹夜で会議した結果生み出されたかのような方法で勧誘を行っていた。しかも組織は内部分裂しかけている。もっと別のところに金をかけたほうがよかったのではなかろうか。というか三体問題に気づくのが最初の問題なのにゲーム名三体にするのがまずどうなんだ。

三体ゲームとかカメラ撮った瞬間だけちくわ大明神して精神を不安定にするとか三体星人新技術開発記とか面壁者と破壁者とかいろいろ変なところはある。

 

 

 

 

色々言ったが社会の情勢変化、異星人とのコミュニケーション、宇宙の理屈、愚かな人類を時間空間スケールを常に拡大させながら書ききってずっと面白い化け物みたいな作品だった。

細かいところまで書き始めるときりがないのでこのぐらいにしておく。