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パラノマサイト FILE 23 本所七不思議[ネタバレ感想]

この記事にはパラノマサイト FILE 23 本所七不思議の致命的なネタバレがあります。

 

 

 

ADVゲーム、全体のプレイ時間は7時間ぐらい

一応ジャンルはホラー

 

序盤にジャンプスケアが少しあるぐらいで、ホラー話(七不思議)を基にサスペンスが展開されていくので、ホラーを期待して買うとがっかりするかもしれない。

 

基本的に群像劇であり、視点も主要なキャラ4人ぐらいを場面ごとに操作することで最終的な結末へと物語を進めていく方式になっている。

 

https://www.youtube.com/live/UdCw8wf40r8?si=9kubpxqjvzVhNb4l&t=665

あと、入力した名前ではなくsteam名で呼びかけてビビらせる演出とかメタ的な話はちょっとあったりする

 

ちなみに本所七不思議自体は現実にあるらしいです。

 

 

 

 

 

 

 

ストーリー・設定

昭和末期が舞台であり蘇りの秘術に翻弄される人たちを描く。

本所七不思議と呼ばれる9つの怪談話にまつわる呪いの主となった呪主(かしりぬし)はその呪いで人を呪殺し、魂を集めることで人をよみがえらせることができるようになる。

友達が自殺した女子高生、息子を殺された母、事態を収めようとする刑事が呪主となり各々自らの目的のために行動し始める。

 

呪いは対象を殺すという点は共通しているが呪いごとに発動条件が違う。一緒にいるだけで発動可能なものもあれば嘘をつくなど特定の行動をした際に呪い殺せるというものもある。また、蘇りの秘術は人を一定数この呪いで殺し魂を回収することで成すことができる。一般人だと100人程度殺す必要があるが呪いの主であれば一人で数十人分の魂の換算となっており、呪いの主を殺す方が効率的に蘇りへと近づけるということになる。その上、呪主同士では呪いの主になったときに手に入る呪詛珠を奪うことで呪いの能力とそれまでその呪いで集めた魂をはく奪することができる。

こうなるといかに相手を殺すか/どう呪詛珠を奪うかがメインの話となりそうなのだが、前述のとおり昭和末期が舞台で登場人物の倫理観が現代に近い。

友達を生き返らせようとする女子高生は魔が差して殺人を考えるも友達の説得で蘇りを諦める。息子を生き返らせようとしている母親も交換条件とは言え自分が呪いを行使するのは最終手段で基本は魂がたまった人と交渉して呪詛珠を手に入れようとする。

「条件によっては無節操に呪い殺せる」「相手は一般人でも蘇りの秘術は発動できる」という性質に対して基本的に呪主の半分ぐらいは能力を積極的に行使しようとしない

倫理観無用の血みどろバトルがメインになると思っていたがそんな事にはならなかった。呪主になった人物は殺人に対する忌避感が薄くなるという設定があるにはあるが基本的に理性が勝つ描写のほうが多い。(発動条件の読みあいがあったりと能力バトルのような雰囲気を出す場面は一応ある)

 

ストーリーでは大きな流れとして呪いと蘇りの秘術というのはもちろんあるのだが、本所七不思議の呪いとは関係のない20年前の惨殺事件と1年前の誘拐殺人事件の二つの事件、自殺したと思われる女子高生、不審死を遂げた警官と呪いの発生前の事件の話も物語に深くかかわってくる。むしろキャラクターの動機や動きに大きくかかわるのでこちらがメインであるといっても差し支えない。

視点主の一人が刑事ということもあり、話の流れはかなりサスペンスに近い。軽々しく登場人物が死ぬというより一回一回の殺人が重く見られるのも刑事もののサスペンスに近い印象を受ける。

実際、全体の流れとしてこのパラノマサイトという話は本来サスペンスとして展開するストーリーが蘇りの秘術で捻じ曲げられバッドエンドとなるのを視点主たるプレイヤーが空間時間を行き来し蘇りの秘術とは無関係な世界線へと戻す話になっている。

 

また、殺人、生死、呪いというシリアスな話がメインではあるが、コメディ要素、会話が多分に含まれていて、割合明るい雰囲気でストーリーが進行していく。大分シリアスなシーンでもわりと笑える話を挟んでくる。がんばれ国家権力の画像を見た人も多いと思う。

また、視点主のほとんどが呪主+非呪主というバディで行動していてバディものとしての要素も多分に含んでいる。キャラの掛け合いも軽口をたたくようなものがおおく、キャラもの、バディものとしても大いに楽しめる内容となっている。

 

ゲームとして

このゲームは選択肢を順番に選びすべての話を聞き終わると次の展開に行くという一般的なADVゲームと同様に進行するが、いくつかの場面では推理をし謎解きをする必要がある。この謎解きのタイミングが良かった。話の流れがややこしくなったり、注目すべき新事実などには選択肢の問題を与えて、プレイヤーが解き明かすという手順を踏ませており、自分で解いたことでそこでストーリーの流れを自分の中で整理できた。

あと、資料集が逐一更新される上ゲーム中いつでも参照できるのがすごい便利だった。謎解きの際に資料からの情報だけで正解の選択肢にたどり着けるようになっているのも親切だった。

総じてこのあたりのシステム周りは丁寧でよくできていた。

 

まとめ

ADVゲームは途中で飽きるタイプなのだが、このゲームは集中してプレイすることができた。

話の面白さと話の本筋に対して重くなりすぎないキャラ同士の掛け合い、いつでも確認できる資料集で予想や推理ができるという点で評価が高い。

 

ダメだった点は、好きになったキャラが救いようのないレベルの悪役だったことです。