雑談:『HPが減るとそれと連動して攻撃力が下がる』の話
ゲームシステム上『HPが減るとそれと連動して攻撃力が下がる』はありか?なしか?という話がXで話題に上がっていた。発言者としては絶対なし、ただ言語化が難しいという主張だった。
発言者のしゃらくささもあり、結構反対意見とか馬鹿にした意見も多かった。
自分の意見としては『いいわけないでしょ。』が結論なのだが、周りの意見も含めて意味わからん意見が大量に散見していてイラついたので冷静になる目的で自分の考えをまとめて乗せておく
元のポストへのツッコミ
・話題の浅さ
まずそもそも、「不利になるともっと不利になるシステムは基本的に避けるべき」というものがある。これは割合有名な話と思っていたがそうでもないのかもしれない。
話題のHPと攻撃が正の相関をもつというのはどういう効果を生み出すかを例にして考える。
発言元がRPG想定なのでRPGを前提として考えると、「強敵に負けやすく雑魚に勝ちやすい」という状態になる。強敵であればあるほどHPを大きく削ってくるので攻撃力が低い状態でたたかうことになりこのシステムがあると自分が不利になる。
つまり、当然のことではあるが不利になると不利になるシステムは自分より強い敵に有利に働くのだ。
強いやつに勝てなくなるルールを実装して何か面白い結果を産むの?
それでもってそもそもの話この原理上の問題ってちょっと考えればわかることじゃない?
まず議論の俎上に上がるとしたら、『HPが減るとそれと連動して攻撃力が下がる』はゲームの基礎的なシステムルールとしてふさわしくないけどなぜかを洗い出す。もしくは一般によくないことだけどこういう場合には良いという話まで行くべきではないのか?
あと、話題の上記ポストに続いて「HPが5割とか4割とか6割どういう気持ちになればいいのかわからない」と返したという話をしていた。
いや、「現在のHP」と「敵の攻撃」「回復」を考慮して殴るか回復するか選べばよくないか?この辺りは別に困ることはないと思う。
・必要ターン数の見通しの悪さ
困る/困惑するという点においては見通しの悪さが問題として挙げられる。
例えば一般的なRPGだと2ターン掛る戦闘だと乱数に左右される場合を除いて、当然2ターンで完結する。一方HPによる攻撃減少がそこに加わると攻撃の有無でこれが2ターンが3ターンになったり4ターンになったりする可能性が高い。
そして、もともと作業性の高いレベル上げや素材集めの時に攻撃力の低下が起こったとして、面白いか?と言われると怪しいものがあると自分は感じる。
回復ボタンを押す回数を増やすことは面白さにつながらないと思うよ
・「絶対ない」とも言いがたい
最初の自分の意見とは一見乖離するが、ゲームシステムとして不利になれば不利になるシステム自体は結構実装されていたりする。
それは、この状況になるのをプレイヤーに避けさせるという強いペナルティとして実装されているものもある。つまり、ゲームシステム上行ってほしくない行為を防止する働きがある。
モンスターハンターでは連続で被弾すると気絶(操作できない状態)になる。これは攻撃を食らって回復、攻撃を食らって回復を繰り返すと起り、気絶状態になるとそれなりの確率で死ぬ。攻撃を避けられず装備と回復に頼りきりなプレイヤーへのペナルティともいえる。(これに関しても猫の補助などで緩和をする向きにあるように思っている)
また、XCOMでは隊員が死ぬと隊員がパニックを起こし敵味方の区別なく撃ったり行動不能になる。特にこれは新兵が多い序盤に起こりやすい。新兵の殉職→新兵の雇用を繰り返すという行為は経験値の観点からも避けるべき行為で、できるだけ避けるように強制しているともいえる。(開発がプレイヤーに不利な要素を面白がっているだけの可能性はあります)
HPは増減していくのが基本なのでそのあたりは一般のRPGから乖離した特殊なシステムを導入する必要が出てくるが、HPを減らす行為を厳罰に処す意図で実装するのはなくはない。
例えばダメージをカットする装甲があり、基本的にダメージを受けない様に装甲を積んで立ち回るゲームだとこのシステムはありなのかもしれない。
大抵うまくいってないからやめといたほうがいいし、このシステムが導入されているのを見たら買うの様子見ると思うけど。やっぱり「絶対ない」気がしてきた。
・(補足)心ばかりの養護
このあたり詰めていくと具体的なアイデアの話になるのだが、アイデア勝負になりがちな低価格インディーズゲームだと自分のアイデアを発表することは不利に働く。一方でインフルエンサーとしての立場はインディーズゲームでは特に売り上げに強く作用することは想像に難くない。多くの人間が反応しやすいポストを自分のアイデアが出ない程度に行ったと考えると別にそんな変なポストではない。
まあ相手の事情を汲む義理はないんですけど。
反応へのツッコミ
・人気作品を例にとって上げつらう意見の馬鹿さ
本当に不毛。ある程度ゲームをしていればにたようなシステムを実装しているゲームと出会うか噂ぐらいはきくから、数作例を挙げられると思う。
はっきり言って実装意図に関して話しているのに、反例を上げてあげつらうのはポストした人間が嫌いなんだな程度としか認識できない。
人気作品のシステムを踏襲すればいいというのはある程度正解だが、そのシステムになったには理由があり、あるシステムが採用されないのも理由がある。
自分は格ゲーのコマンドに関して位置取り以上に移動の入力にリスクリターンがあり、コマンドもその一環として意義があるという話(下記参照)はすごい面白い話だと思っている。
ゲームのシステムや構造をしゃべるのは非常におもしろい話で、もちろん、既存のゲームでなく架空のゲームシステムをやいのやいのいうことは一種の創作論雑語りに近いものである。だが、ゲームは一種の算術の要素を含んでいる以上、創作そのものよりは一定の説明や認識の共有が可能な話であるにもかかわらず、反例であげつらうのは本当に不毛。
格闘ゲームの話
格闘ゲームに興味がなく、いわゆる技を出すコマンドの必要性が理解できなくてSF6のモダン操作のようなものでいいと勝手に思っていた。
あるとき「桜井政博のゲーム作るには」の格闘ゲームに関する話題で「格闘ゲームでは後へ移動する入力がガードであり、昇竜コマンドのような前へ入力すること自体がリスク、コマンドで昇竜のリターンとリスクを取っている」という話が合った。
自分はこの説明を聞いた時、なるほどと思った。格闘ゲームでは移動入力することが位置取り以外にもリスクリターンが要求するようなシステムということである。そういうシステムが長年踏襲されていることを踏まえるとコマンドも一つの面白さを産むシステムなのだろうと今では考えている。(入れ込みみたいなテクニックを知ったのもある)
・ゲームシステムとゲーム要素の取り違え
ゲームシステムとゲームの装備などの要素は根本的に違うという話ってしないとわからんのか?
HPが高いとき攻撃力上がるというのは「HPが低いとき攻撃力下がる」の言いかえでしかないというのは前提として、いわゆる「武器にそういうバフがつくことがあるというゲームの要素」と「システムとしてグローバルルールで常に強制される」のとは話がまったくもって違う。
武器にそういうバフがあるっていうのは他のバフとの競合が発生し、合わない、弱いと思えばその武器を外せばいい話だ。弱い要素不快な要素というのはその選択肢を作ったことが無駄になるだけで、ゲームとしての面白さは大して損なわれない。
そういう意味ではHP量でバフがつく装備は実装しても何も問題がない、諸々考慮して強そうなら使い、弱そうなら使わないそれだけでいい。
(余談だがそういう装備は割合ある一方で、HPと比例する装備自体強かった記憶がない。特殊な運用をして気持ちよくする一種のカードゲームのような要素としては面白いが、そういう武器は雑魚に強く強敵に弱いという問題点を抱えている。もちろんバフやデバフ、ゲームシステムとの兼ね合いはあるがこういう武器が一番強いゲームは最適解を選ぶとボタンを適当に連打するゲームとなっている印象がある)
一番ばかばかしいのは『グラブルに同じシステム(渾身)有りますよw』みたいな話、ソーシャルゲームなんてキャラ売るためにいくらでも要素足していくらでも強くできる。ゲームシステムの話からズレている上、背水というまったく逆のシステムが暴れていたことを鑑みると単なる兼ね合いでしかないってわかるのにバカにしたいという脊髄反射でしゃべっている。
・(補足)リアリティのためのフレーバーとゲーム性の取り違え
少し話が違うのだが、怪我とかの要素を上げている人がいた。
怪我のシステムがあるゲームはたくさんある。崖から落ちて骨折する、敵の攻撃を食らって血が出るのはリアリティがある。だが、こういう怪我要素は大抵のゲームではリアリティを匂わすためのフレーバーであり、回復方法も無限に販売されている薬品を無限に入るインベントリに入れて使うだけだ。例えばFalloutの部位損傷の治療は100個以上備蓄された回復薬を数本刺すだけで完全回復する。
これがゲームとして面白いか?と言われると正直場合による。面白さというのはゲーム性だけではないのでこういうリアリティの匂わせというのは馬鹿にできない。しかしながら、少なくともインベントリ容量が制限されていないとゲームとしては面白くはならないと考えている。
リアリティを追求したゲームは面白さがあるとはいったが、単純なRPGでこれを出されるとデバフが多いゲームという印象にしかならないと思う。
また、結局のところストレス要素ではある。
まとめ
正直この『HPが減るとそれと連動して攻撃力が下がる』ような不利が不利を呼ぶシステムに関しては昔から否定されている、少なくとも実装は慎重にするべきというのは割と一般的な感性だと思っている。アイデアとしてみても特殊なゲームシステムのアイデアとしては最初の方に出てくるのもあり、そこで止まるのは何の発展性もない話だと思っていた。なので、浅瀬みたいな話で終わるでしょと思っていた。
なのだが、それに対する反応が凡庸な上なんかもうバカにしたいだけの人間が発生していることがあほくさかったのでつらつらと書いてた。
ゲームの面白さは「桜井政博のゲーム作るには」にもあるように(というよりずっと昔から言われている話だが)選択とリスクリターンで、今回話題のシステムは根本的にリスクリターンのつり合いが取れていない以上システムとしてある種の欠陥を抱えている。
このシステムを活かそうとすれば面白くなる要素を別個につける必要があり、そこも踏まえて話をすべきなのに元の話もその反応もそこが欠如している。
ただ、少なくとも今のところ自分の意見としてはたとえ別の特殊ルールを追加したとしても『いいわけないでしょ。』が結論だ。
おまけ
話題が浅いっていうなら「HPが減るとそれと連動して攻撃力が下がる」ことの利点とか考えて書くべきでは?と思ったので一応つらつらと考えていた。一部上記内容と被っている。
・ステータスが単純化できる
実質的には体力を戦力値としてみることができる。見るステータスが減るので大量のデータを扱う際には有効。
大量の人員を管理するゲーム、例えばダンジョンに冒険者を突っ込み管理するゲームとかの場合、そもそも各ステータスを把握するのが煩雑で面白みがないのであれば、戦力値として一括でくくるのはありだと考えている。
・弱いユニットによる行動を制限する
上記の通りシステムはプレイヤーの行動を操るためにあるのだが、こういう負が負を呼ぶシステムは強く行動を制限させることが可能である。ゲームを作っていったら、どうしても仕様の穴をついてが出てくる。楽しくなるような仕様を維持しつつその穴をふさぐ手法としても有効である。
例えばSLGで強いユニット1体と弱いユニット大量生産した方が強くなってしまう場合、強敵に対して弱くなるこのシステムを利用して、大量生産してラッシュをかける行為をある程度抑制できる。
ただし、ゲームとしての面白みを削ぐ行為(本来強い選択肢を削る行為)であるという点は留意が必要。
・リアリティが出る
HPが一定値以下だと攻撃力が減るというのはリアリティがある。ただ、最近のゲームだともっと細かく要素(状態異常など)を盛れるので、その程度でリアリティがでるか?と言われると大分怪しい。
以上、考えれば考えるほどダメな方の理由が思いつく。別のトレードオフのシステムと組み合わせる(例えば、HPが高いと攻撃力が上がりとHPが低いと素早さが上がる)みたいなのも考えたが攻撃力を下げる意味がなく微妙
今までのゲームの経験上こういうシステムが上手くかみ合って面白くなっているゲームはあまり見たことがない。そういう意味でもこのシステムは圧倒的に無しだと思っている。